聞いた話、何でもとてつもなく修羅場な場面が何度かあったそうなのだ。



何とまであまり興味もなく聞かなかったが、何となく気になってるんだよな………。胸騒ぎみたいな。



あー、私のただの勘違いで何も起こらなければ良いのだが。



切実にそう願いながら、私は最後に身なりを整え脱衣場を早足で出た。



そのまま廊下を進み、玄関で靴を履いて外に出る。



門までの道を進み、20段程の階段を下りて踊り場の壁側にある車庫へと続く扉前へと移動する。



壁に綺麗に紛れたボタンを押しながら扉を開け、

閉めてから車庫内の階段を5段下りて停めてある車の後部座席へと乗り込む。



フロントガラスやフロントピラーにはフィルムを張って居て見えなかったが、

運転席にはいつもの組員が。後部座席には組長で私の祖父である白雪雪蔵が既に乗っていた。



「スマナイ、待たせた」



「まだ5時まで5分ある。早いくらいじゃよ」



いや、それを言うと私より早かった2人はいつから………。いや、まぁ良い。



扉を閉めてすぐ発進し、運転席と後部座席とが防音機能の着く坂で遮断される。



会話の後、静かになった空間で私は眠気に負けて眠ってしまった。