「雪路、離して?」



「っ!」



私の元に戻った声音に驚いたのか、パッとこちらを見た雪路の顔はやはり腫れていて。



「もぅ、雪路。手当てしながら話すから」



少々怒り気味の雪希が手早く手当てを始めた。



「………ありがと、雪路。僕を庇ってくれて」



「ううん、全然。………私こそ、裏切り者って言われて、そのせいで雪希兄と雪香姉にも悪口言われて、ごめんなさい」



「っ雪路のせいじゃない。それは、アイツ等が」



雪路や雪希にこんな思いを、こんな会話をさせて………。



いや、それよりもそんな2人を守れなかった私自身を恥じるべきだ。



そんな事を思ってると、雪路が話し出した。



「……雪香姉、私、ホントに裏切ってないの」



下を向いて、悲しそうに。



「私達が中学二年生ぐらいの時から、お母さんと覚さんが再婚を考え出して、じゃあ一緒に住もうってなって、私達が越してきて。それから私は青龍の姫に、瑠樹の彼女になって楽しかったんだけど、その後に倉庫近くの外に倒れてた亜夢ちゃんが姫になって、それから……」



そこで雪路は涙を流しだした。



途中までは、それはそれは楽しそうだったのに。



「それからすぐ、亜夢ちゃんが私に姫止めろって言ってきてね。瑠樹の彼女なのがムカつくって、いじめられたりして。でも皆に言ったら伊東組って組とか動かして青龍潰すって言われて、言えなくて」



………。