私は今まで殺気は「%」で殺気をコントロールしていた。



だが、今はそれが出来る状態ではない。



ーー「ヒッ」



私は身体能力を最大限まで活用し、

2階から飛び降り律に拳銃を向けた大我の顔面目掛けて回し蹴りを入れた。



ーボキッ「ガハッ!」

ーー「!?!?!?」



大我はそのまま吹っ飛び、後ろに居た者達を数十人巻き込んで倒れた。



「ヒッ!な、何なのよっ、何なのよぉ!!!」

「逃げるぞ!」

「ここに居たら死ぬ、死んじまう!」



亜夢は腰を抜かして尻もちを付き、純平と大輝は逃げようと背を向けた。



私はそんな3人を回し蹴りで一気に倒れさせる。



気絶せず、かろうじて声が出る程度に。

「黒蛇、白蛇、毒蛇は潰れた。もう青龍に手出しをしない。良いな」



「「「はぃ………」」」



3人共気絶したらしい。

数十人巻き込んで倒れた大我を見ると、3人よりも酷く泡を吹きながら気絶していた。



静かになった空間で、私に視線が向けられる。驚愕一色に染まった視線だ。



そんな中、私はそれを感じつつ倒れた律の前に膝を着く。



ーー「っ!」



この身体能力は私の誇るべきものだ。白雪組の若頭として、誇るべきものだ。



だが私は、今この時この力が嫌になった。



怖がられるだろう。



私は幾つもの組、族を潰してきた。



今回は言われなかったが、「化物」「人間じゃない」なんて当たり前だ。



恐れられるのに慣れていたはずなのに、今この場では嫌でしかない。



怖がられるのが、恐れられるのが、嫌われるのが今まで気にならなかったのは、

相手が知りもしない他人だったからだ。



だが今は違う。



相手は律なんだ。律の族の構成員なんだ。



「雪……香」



絞り出す様な痛々しい律の声。



私はもう目を瞑った作り笑いなんてせず、声音も口調も偽らず、素のままで話すことにした。



「すまなかった。私が最初から出ていれば、こんな被害は出さずに済んだのに」