「いい加減、青龍は負けましたって認めろよな」



ーピクッ

「誰がっ、認める…もんかっ」



律が言う。

身体を動かすのも大変……いや苦痛だろうに。



端から見たらただの威嚇だ。



だがその声は低く圧があり、私に向けるものとは根本的に違っていた。



先程の歩に私の事を訂正した時のように、今はもうザコで片付けられない。



「認めろ。殺されたいのか」



拳銃を出した大我。



私には目もくれず、この場の全員が律を見る。



「じゃあ、死人に口なしって事で良いよなぁ!!!」



ーブチッ



あぁ、律の前ではやりたく無かったな。



抑える事の出来なくなった殺気を開放する。



ーブワッ



ーー「っ!?」



一斉に視線が私に向く。



驚愕、疑惑の視線だ。

私から殺気が放たれている事を理解した者、私から殺気が放たれたのかと疑うもの。



権力を振りかざすのも、通り名をひけらかすのも私は嫌いだった。



だが私の手はウィッグを取り、私は無意識の内に偽っていた雰囲気を元に戻していた。



「雪…香」



「なっ!?嘘だっ!お前はっ、お前はっ」



慌て出す大我。



亜夢は分かってないが、純平も大輝も私が誰なのかを理解し顔を真っ青にさせる。