『……。』



チィは下をうつむいたままだった。


僕は必死に話題を変えようと頭をフル回転させた。


『ケイジ(卒業式の日のモテ男)…元気かなぁ。』


僕はこの言葉を言い終わるとドキっとした。


のぞいていたのがバレる…。


『え!!?何でケイジ君のこと知ってるの?もしかして見てたの?』


僕はチィに爆弾を渡された気分だった。


『ごめん!!のぞくつもりはなかったんだ!つい…!』

『……そう…。』


空白の時間が流れた。




『…好きな人…。いるよ…。』



辺りはもう薄暗くなっていた。


暗い声でそう言ったように聞こえた。



『え!?』



『…もう帰るね。』


『待ってよ!そうだ!一人だったら俺の家族と一緒に夕飯でも食べにおいでよ。みんな歓迎してくれるよ。』


本当は家族に紹介するのは恥ずかしかったけど、どうにかチィを行かせないようにと思った。


『…いい!せっかく家族で来たんだからジャマしたくないよ。じゃあね。今日はありがと。楽しかったよ。』


『夜!今日の夜!!』


『えっ!?』