頭が痛い…。鏡の中のひどすぎな顔。
お風呂はいろ…。

大学の女子寮の大きなお風呂へ向かって、
階段を降りていくと。
共同玄関にエプロンをつけた女性がいた。

あ!よかった!
ここの生徒さんですよね?
この方こちらにいらっしゃいます?

伝票の宛先を見ると。
え?あたし宛?
差出人の名前を見て固まる。
せ、先輩…?なんで?どういうこと?

配達お受けしたものの、簡単な住所しか書いてなくて。
来てみたら女子寮だし、部屋番号もわからなくて困ってたんです。
ホッとしてる様子の女性の言葉が通り過ぎる。

気がつくと、私の手に残されたのは。
赤いバラの大きな花束だった…。

見たこともない大きな花束を、隠すように
部屋に駆け込んだ。
伝票を見ると、本当にあたしの名前。
そして、先輩の名前。

これは、何…?
見ると、小さなカードが入っていた。

Happy birthday

プリントされた文字を見て、これがあたしへの
誕生日プレゼントなのだとわかった。

どうして…。

どれだけへたり込んでいただろう。

先輩が、ご飯行かないで向かったのは。
あたしのためのお花屋だったのだろうか。

もちろん、今日があたしの誕生日だなんて
知らなかったはず。

あの時、あたしが誕生日だと聞いて。
急いで手配してくれたんだろうか。
大学の寮だから、住所はわかっても、
名前も部屋番号も知らないのに。

こんなにいっぱいのバラの花。
何本あるのか、数えられないほど。
あたしがあげたプレゼントのお返しなんだろうけど…。


ずるいよ。
こんなことされて、忘れられるわけないよ。

電話しても、いいかな…。
だめかな。
お礼が言いたい。
声が聞きたい。

顔見て、ちゃんと伝えたい。

たとえ、このお花が。
優しさだけのプレゼントだとしても。