大会が終わると。
練習に四年生は顔を見せなくなった。
就職はそれぞれ決まっていたようだが、
詳しい話は聞けないまま、日々が過ぎていく。

張り合いの無い毎日。
ちょっとだけ上達したテニスも、あたしの慰めにはならなかった。

先輩、どうしてるかな…。
今度いつ会えるんだろ。
最近、気がつくと涙目になってるあたし。

マネージャーに呼ばれた。
ぼーっとしてるからだ。怒られる!

覚悟して前に立つと、じっとあたしを見てから
ふっとため息を吐く。

ちづる。
泣きながら走ると、怪我するよ?

あたしの気持ちを見すかすように、優しい目のまま続けた。

ちゃんと当たって砕けたの?

親身な声に、また涙がハラハラと落ちる。
当たりました…。
砕けましたよ?
たぶん…。

でも、どうしても諦められないのは。
はっきり断られてないからだろうか。

先輩はいつも優しかった。
リストバンドくれた時も、驚いてたけど
照れた顔して渡してくれた…。

まだ、期待してるんだろうか。あたし。
でも…。

マネージャーが、苦笑いしながら言った。

あんたのテニスは下手だけど、最後まで諦めないとこが、いいとこだよ?
明日、久々に四年生たち顔だす予定だから、
頑張りな!

明日…あたし誕生日です…。

えっ!?
それなら、練習終わりにみんなでご飯でも
食べに行こう。先輩たちにもうまく声かけて
あげるから。
とにかく、今日はもう練習終わる時間だから、
もう帰って明日の策でも練りなさい。
マネージャーは、ちょっとウィンクして
ヒラヒラと追い払うように手を振って笑った。


すっかり忘れてた。誕生日。
下手したら、最悪な誕生日…?

ど、どうしよう。
今日…寝れるかな…。