誕生日にプレゼントを渡してから、
先輩からのリアクションを待つ日々。

先輩は、いつもどおりに穏やかに笑って
輪の中にいるけど。
目は合わない…。
声もかけられない…。

完全なるノーリアクションなのね。
そういうことか…。

お弁当箱も、キレイに洗って私の荷物棚に
いつのまにかのせてあった。
何もなかったような日々が過ぎる。
何もなかったことに、か…。

それでも見つめてしまう目に、マネージャーが
気づいていた。

ふいに、背中ポンと叩かれて。

ちづるちゃん、なかなかお目が高い!
あいつ、モテるくせに自覚がないんだよね。
どんどんいかないと!と、にこっと笑って
部室を出て行った。


もう、撃沈してますよ…。


なすすべもないまま。
最後の大会の日がやってきた。

うちのサークルの選手は、みんなそれぞれに
自己ベストまで進出した。
応援の声にも熱が入り、全て終わった頃には、あたしもすっかり腑抜け状態。

ぼんやりしてる間に、みんな帰り支度を始めていた。
これで引退。本当にこれで…。

それぞれ同じ方面同士で、車に乗り込む。
あたしも、来るときに乗せてきてくれた
マネージャーを待っていた。

先輩の家の方面は、誰もいない。
運転席にあの笑顔を見つけた時。
あたしは走っていた。

先輩!!
記念にリストバンドもらったりできませんか?

…と口走った気がする。
自分でもパニックで、覚えて無いけど、
先輩の驚いた顔は覚えてる。


今、あたしの手には先輩のリストバンド。

泣ける。