プチ旅行と、その後の二日間を一緒に過ごし。
あっという間の、三連休が終わった後。

幸せに浸る間も無く、悲しい現実が
近づいていた。

先輩の引っ越し。

あたし達が始まった時には、もう決まっていたこと。
何もかも手配済の現実を、止めることが
できなかった。
東京勤務の話が出ていたので、
先輩の実家でも、少しでも家族で過ごしたいと思ってのこと。
そりゃそうだよね…。

東京と違って、先輩の実家はここから
車で一時間半ほどだもん。

会いに出てくるよと言ってくれてる。
あたしから電車でも会いに行ける距離だし。

それでも…。

心のどこかで、
引っ越し無くならないかなぁ…。
あたしのために、やめてくれないのかなぁ。

…そんな風に考える自分は嫌だった。

でも、抑えられずに顔に出てたんだよね。
きっと。


引っ越し準備を始めた先輩の側で、
ふてくされたような顔してるんだもん。
先輩も嫌だったろうな。

ちづる。今日はもういいよ。
後はゆっくり自分でやれるから。
送ってくよ。

いつものように優しいけれど。

少し雰囲気の違う感覚を受ける…。

邪魔…?

そう聞くあたしに。

そうじゃない。そうじゃないけど…。
…楽しいことでもないしね。

じっと先輩の顔を見つめた。
鏡を見なくてもわかる。
あたしの顔、きっと先輩と同じ顔してる。

始まった未来の悲しい現実を。

痛くて辛い現実を。

受け止めきれずにいるんだよね。まだ。