…酸欠になりそう。
クラクラするあたしを、先輩はちょっと
体から離して、見下ろす。

はぁ…だめだ俺…。ごめん。つい…。

あたしの返事を、少し心配げに待っている。

先輩…あたし、倒れそうだよ…。

え?だ、だいじょうぶ?
ご、ごめん!ほんと!

慌てる様子が、可愛くって。
ドキドキが、ホワホワに変わる…。

幸せで。倒れそう…。

泣きたいくらい、大好き。

あたしの言葉を聞いて、抱きしめる手が
少し強くなる。

ちづるちゃん…。
俺が、どんだけ大事に思ってるか…わかる?
最初はさ。忘れた方がいいと思ってた。
でもね、今は、もう無理だよ…。
可愛くてしょうがないよ。
ちーっちゃくして、ポケットいれておけたら
いいのにねぇ…。

切なそうな、照れてるような顔で、笑う。

ちっちゃくなって、ついて行けたら…。
どんなに幸せだろう。

ずっと一緒にいられたら…。
それは叶わない願いだと。
お互い、わかっているけど…。

今は、口に出したくない。
せめて、今だけは忘れたい。

先輩?

上を向いて呼ぶと。

抱きしめたまま、ん?と、答える。


あたしは、先輩のものだよ。
全部。先輩のものだよ…。


あたしを抱きしめる手が、痛いほど力強い。

ちづる…。

あたしを抱きしめたまま、深くため息をつく。
俺、もう止められないよ?

ぎゅっとしがみつくあたしを、
軽々と抱き上げて、優しくベッドに降ろした。

窓からの光が、夕方のオレンジに変わって
いく中。

あたしの子供扱いは、今日で終わった…。