顔と声がすごい好き。
控えめなのに、一目おかれてる感じも。
誰にでも優しいのも好き。
にこにこ笑ってるのを見ていられるだけで
幸せ。

でも…。
もうすぐ引退してしまう。
時間がない。どうしたら?
焦る気持ちのせいか、寝ても覚めても先輩の
ことばかり考えてしまう。
いつも目で追ってしまう。
知れば知るほど好きになる…。

歓迎会の時、遠くの席でしてる話を聞いた
限りじゃ、今は彼女はいないようだ。

超ラッキー!!
なんで、あんな素敵な人がフリーなの?
…どんなタイプが好きなんだろう。
どうしたらあたしのこと、好きになってくれるんだろう…。

来月誕生日だと聞いた。
ここがチャンスだと天の声がする。

わかってる。わかってるけど…。
どうすりゃいいのー?

マジサークルのお陰で、バイト代もあまり
無い。うぅ…。
あ!家庭的アピールはどうだろう。
先輩は一人暮らしだ!


散々考えた挙句、あたしがとった策は。

ちょうど誕生日の日が、休日の練習日だった
から。
みんなの分のオニギリやら、から揚げやらを
お弁当箱にいっぱい詰め込んで、差し入れと
して持って行った。

おお〜!やったー。
あちこちから手が出て食べ始める。


俺、時間ないから残念だけど、帰るわー。

先輩は日曜はバイトがある。
いつもすぐ帰るのを知っていた。

お疲れ様ー。とみんなが声かける中。

あたしは。

心臓バクバクさせながら、よけてあった
お弁当を持って、こっそり追いかけた。

待って。待って。お願いだから、まだいて!

走っていくと、ちょうど車に乗り込むところ
だった。

先輩!と呼ぶと、ビックリして振り向く。

これ、どうぞ!バイト終わってからでも
食べてください!と、お弁当箱を出すと。

え?いいの??
ありがとう。じゃあ遠慮なく。
と、笑って帰って行った。

考えに考えた結果の。
誕生日カード付きのプレゼントをお弁当箱の
袋に忍ばせてある。

車を見送りながら、プレゼントを見つけた時の
先輩を想ってみる。

気づいてくれるだろうか。
あたしの気持ちに。
引かれてしまうだろうか…。
こわい。

でも、もう後にはひけない。