ちづるちゃん、そこのコンビニ行って
ケーキが無いか見てこようか。

赤くなったままのあたしから、
目を背けるように先輩は言った。

ちょっと外の風でもあたってこようよ。

あ、はい!と、立ち上がったら。

振り返った先輩の顔も赤かった。

背が高い先輩を見上げながら、
先輩。顔赤いです。と、言うと。

この口うるさいぞ。と、あたしの頬を
ちょっとひっぱって笑う。

…ああ、神さま。
これが、ラブラブってやつ?
もう、たまらんですぅ。

ほら、と、先に玄関に向かう先輩を
追いかけて行く。

ああもう。
ずっとこの幸せが続けばいいのに。
ずっと、先輩を追いかけて行ければいいのに。

少し寒くなってきた空気。
秋がすぐそこまで来てる…。

先輩の背中…見られなくなるのか…。

…やだっ。

待って先輩!

振り向いた先輩は、あたしの伸ばした手を
見て、ニコッと笑う。

困ったお姫様だなぁ…。と、あたしの手を
取り、はい、この靴をお履きくださーい。
と、ふざける。


先のことを考えたら、悲しくなる。
でも、そんなこと言ったら先輩は…。

うん。もう、戻れない。
知ってしまったもの。

先輩の気持ち。
この手のぬくもり…離したくない。