スポーツとしては華やかなイメージの
テニスサークル。

だったのに。

蓋を開けてみたら、マジなやつだった…。
運動神経はそれほど悪くないと自負していたのに、ハタチ目前で初めて知った。

あたし、テニス向いてない!!

ボールが小さい!
ラケットの面に当たる距離感が行方不明。
当たった!と思ったら、今度はボールが行方不明…。

そもそも初心者はあたしだけだった。
歓迎会でその事実を知った時、飲み物吹いて笑われた…。
大丈夫、大丈夫と、慰める先輩たちは、
みんな優しかったけど。
夏の大会に出る先輩たちは、自分の練習で
忙しく、あたしに教える余裕は無いようだ。


疲れた…。汗が気持ち悪い。

…やめちゃおうかな…。

ため息をついて下を向いた時、声が聞こえた。

おーい。大丈夫?


ひ、ひぇ。
あの人が笑ってそこにいた。

四年生の先輩にとって、この大会が最後。
どれだけ練習したのか、汗が日差しに光っている。
先輩は、主力メンバーだけあって、素人の目から見てもすごく上手い。

でも、自分から前に出ようとしないタイプ
なのか、いつも輪の外側で笑っているよね。
一瞬で思い出す。
この笑顔に近づきたくて、あたしはここにいるんだった…。

だ、大丈夫です。下手くそで、すみません!
先輩は、練習終わりですか?

なんとか返事を言えた。

明日練習試合があるから、俺は今日はもう終わりだよ。
みんな、大会前でほったらかしでゴメンね。
ちづるちゃんも、あまり無理しないでいいんだよ。ゆっくりで。

他の先輩に呼ばれ、じゃあ、お先に!と笑った顔が…。

キラキラです!
まぶしすぎます!ふぇーん。
弱音吐いてる場合じゃない。
あの人に。
もっと近づきたい。