その俺が、一番優先させるべき親友を待たせて、立ち止まっている。
 視線を動かせずに、釘付けにされている。


 その視線の先では、高校生であろう制服を着た三人の女子たちが笑って話している。俺が見ているのはその中の一人だった。
 そこまで目立つタイプには見えない。背丈は大体俺と同じくらい(155㎝程度)、肩程までのばしてある茶髪がかった髪はハーフアップにされている。
 問題はそこではない。



 
 今日の天気は晴天。空には雲一つなく、爽やかな青空が広がっていた。小鳥たちは可憐に鳴き続ける。桜こそ散ってしまったが、まぎれもない春の陽気。




 彼女は笑っていた。その笑顔は、この春にふさわしく、キラキラと輝いていた。否、輝いて見えた。その感覚に、俺は覚えがない。


 目を細めて、笑っているその姿。見る人を圧倒するようなオーラはない。だけど、そこには「可憐な」と表現できる確かな優しい雰囲気があった。それは上品なお嬢様のようなイメージを思い浮かべるかもしれない。


 鏡を見れば最高の美少女がいる俺は、女の子を本気で綺麗だと、可愛いと、思ったことがなかった(一般認識的なものは分かっていたつもりだ)。もちろん犬や猫は可愛いし、女の子はみんな大切にすべきものという認識はこの際置いておいて――