いつもの面子でバスを待っている間に、その嵐は訪れた。



 一人の女の子。服装に目がいってなかったのは、その顔立ちがあまりにも惹かれるからだった。



 玲がそんな表情を人間ができたんだ…って思ってしまうぐらい気持ち悪く顔が緩んでいたとしても、きっと私に注意はできない……と、思う。
 うちらとは対照的に冷静な反応をしていた吹雪は、思いっきり引いていたけど。



 この表現で果たしてあっているのかわからないけど、その娘は超美少女だった。
なぜ迷っているのかというと、これだと「すごく控えめに言って、」という前置きがついてしまうからだった。
 その圧倒的な美貌を言い表すにはあまりにも私の語彙力が足りな過ぎた。



 パッチリとした二重の瞳に長いまつげ、スッととおった鼻筋に愛らしい唇。それらはぴったりとはまるパズルのピースのように、一片の違和感すら感じさせないバランスを保っている。透き通るような白い肌にはもちろんニキビなんて一つもない。それらは日本人とはかけ離れているような特徴かもしれないが、髪や瞳は濡れたような漆黒で、また白人のような彫りの深すぎる不快感は全くなく、日本人のようなのっぺりとした顔立ちからはかけ離れている。(※あくまで私の偏見)


 左右対称で欠点なんてまるで見当たらないその容姿は、ある種人工的なものを感じさせたが、人がこれほどまでに完璧な顔立ちを創ることなんて不可能だと、直感的に思った。自然に形作られるにはあまりに無謀で、世界中でこれに匹敵する人などいるはずもなく、過去をどれだけ遡りこれからの未来だって、こんな完璧な人は存在しないだろう。こうやって存在していることがとてつもない奇跡だということを思い知らされずにはいられない。


 この娘の存在を知ったのならば、女神でも恥じらいのあまり顔を隠してしまうに違いなかった。現世の人々は嫉妬するのも馬鹿馬鹿しくなる差だった。



 これだけ長文になってもなお、彼女の魅力を語れた気がしないのは、もうあきらめるしかなかった。