「咲良?いくよ?」



 俺を呼ぶ声。少し前を歩いていた線の細い少年(俺と同い年だけど)が振り返って呼んでいる。
 俺の親友、菜摘千晴。女の子に間違えられそうな名前だけど、千晴はれっきとした男子。


 俺は七海咲良。なまえで間違える奴も多いけどもちろん男子!


 そんな共通点(女子みたいな名前)で初対面の時から(愚痴とあるあるで)意気投合して、三年前からずっと親友だ。




 俺と千晴はかなり気があったけど、明確に違う所が一つ、あった。


 それは容姿。まあ、他人だから当たり前なんだけど、そういうことじゃなくて。千晴は、細身で髪もふわふわしてて俺から見ても綺麗な顔…おほん、でもちゃんと男の子に見える。俺はなんていうか、美少女。…美少女だった。


 自分で言うのもなんだが、俺は今まで俺より上だと思った美少女は見たことがない。(テレビや雑誌含めて)(俺判定)
 大袈裟でも自惚れでもなくて、事実。(俺判定)