7人目のバンドマン




隼人さんと僕を乗せたバイクは、
小綺麗そうなビルの前で停まる。



「こっち。」

駐輪場でヘルメットを返すと、

隼人さんの後ろをついていくようにビルの中へと入っていった。




「今日はメンバーが集まって今度のライブのリハやるんだけど、

カスミが自分で設けた新曲の作詞期限も今日なんだ。」



「は、はぁ。」


「でも俺の予想だと多分カスミは出来てない。

だから今日はメンバーにドッキリを仕掛ける。」



階段を上りながら隼人さんはどこかウキウキしている様子だった。


「・・・ってちょ、ちょっと待って下さい。

Cyclonの皆さんが集まるって・・・。

そんな所に僕がいたら場違いじゃないですか!」


「安心しろって悪いようにはしねーから。
ほれ、よこせ。」




隼人さんは僕の方を振り返ると、
右手を出した。


「お前が書いてきた詞、見せてみ。」


「・・・・・・・。」


黙ってノートから切り離した1枚の紙を渡す。


隼人さんはそれをチラ見すると、
折り畳んで上着のポケットにしまった。