「曲はできるけどそれに詞がつかない。
そんな状態がずっと続いてる。」
隼人さんはよほどお腹が減っていたのか、
生姜焼きをおかずに、
ご飯をおかわりしまくる。
「カスミはもがき苦しんでる。
駅前広場で1人で歌ったり、
1日中ハンバーガー屋に籠もったり、
色々模索はしてるみたいだけど。」
「僕・・立花さんが駅前広場で歌ってる時、聴いてました。
音楽の事分からないけど、
立花さんの歌・・凄かったです。」
「だろ?
カスミの歌唱力はありゃ天才だ。
うちのバンドには天才が2人いる。
だからこんな所で立ち止まってるわけにはいかねーんだけど・・・肝心のボーカルがなぁ・・。」
「立花さん・・・早くスランプ脱け出せられるといいですね・・。」
隼人さんに促され、
止まっていた箸を再び動かす。
しばらく会話は止まり、
生姜焼き定食の皿を空にした。



