「おぉ~。また来たのか。
・・・え~っと吉村君。」


「・・・・仁村です。」


「あ、仁村ね。」



図書室に入ると、
夕刊を読んでいた先生に話し掛けられた。


確か遠藤先生だったかな。

歴史の先生なんだけど朝刊と夕刊だけ読みに図書室へ来るらしい。



「お、そうだ仁村君。」


「はい。」


「これやるよ。」


遠藤先生はボロボロの古びた財布をポケットから取り出し、

そこから小さな紙を渡してくれた。


「・・・・クーポン券ですか。」


駅前にあるハンバーガーショップの、
ポテトが50円安くなる、
というよくあるものだった。


「頂いてもいいんですか?」


「4日連続で食べてたらさすがに飽きたからもういいや。」