「それ、ね。矢吹先輩に作ってもらったの」
「諒介さんに…?」
「うん。どうしても今日伝えたくて…」
先輩に作ってもらったケーキのイメージは“幸せの道”。
私とたっくんをイメージした人形をシュガークラフトで作ってもらい、
仲良く寄り添った私達の前にはクリームでデコレーションされたデコボコ道がある。
そして、その先にあるのは…お菓子でできた、小さな家。
「外でどんなに辛いことがあっても、たっくんが帰る場所が幸せであるように。その場所が…私が待っている家であるように。二人で幸せの道をずっと歩んでいけるように」
そんな願いを込めて、このケーキを作ってもらったんだ。
「私ね、こんな格好してみたってまだまだ大人になんてなれてないかもしれない。でも…たっくんの支えになりたいの」
たっくんはいつだって輝いてて笑ってて。
弱いとこや疲れたとこは一切見せない人。
でも、私には…私だけには、そういうところも見せてほしい。
酸いも甘いも全てを分かち合いたくて…
このケーキの一番目立つところに、私の気持ちを書いたチョコプレートを置いてもらったんだ。


