「この歳になってもブランコに乗っちゃうなんて、見た目は大人でも中身はやっぱり変わらないね」



精一杯オシャレをしておきながらブランコに乗っちゃう私を、たっくんはクスクス笑いながら見てる。


「うっ…笑わないでよ。今日はたっくんに喜んでもらいたくて思いっきり背伸びしたんだから」



相変わらずクスクス笑ったまま、私の後ろに回ったたっくんはブランコをゆっくりと押し始めた。



「嬉しいよ、ありがとう。でも背伸びしたって朱里はちっちゃいままだけどね」

「そういう背伸びじゃ…」

「背伸びなんてしなくてもいいよ。俺はそのままの朱里が好きなんだから」




そこでブランコはピタッと止まる。

不思議に思った私は、たっくんを見上げるように後ろを振り返った。



「たっくん…?」



薄明かりだったあの頃と違い、新たに設置された外灯がしっかり照らしてくれたのは、




「…朱里、聞いてほしいことがある」




もうすっかり大人の男の人の顔をした、たっくんだった。