しっかりと手を繋いだまま歩く実家までの道は、なんだか懐かしくて…
所々で足を止めては、思い出を振り返る。
「あ、あの本屋さん懐かしいね」
「本当だ。この辺で唯一の本屋なのに品揃え最悪なんだよなー」
「だから昔ここにはなかった幻の5巻買ってあげたでしょ?」
「うん。あのとき嬉しくて死にそうだった」
「いつも大袈裟だよ…」
あの時は、まだ自分の気持ちに気付いていなかった。
だけど、幼馴染みのはずのたっくんに何故かドキドキして、意識して…
気付けば私の頭の中は、たっくんでいっぱいになってたんだ。
「それで、ここのコンビニでいつも朱里が俺の好きなお菓子ばかり買ってくれてたんだよね」
「あれは不思議現象なんだよ。勝手に手が動いちゃうの。私の手にはたっくんの好きなものに反応するセンサーが付いてるのかも」
「ハハ、なにそれ。可愛すぎ」
赤ちゃんの頃からお隣さんで、ずっと一緒に成長してきた。
近くにいすぎてなかなか気付けなかったその気持ちに気が付いて、ただの幼馴染みだったはずのたっくんに恋をして。
その恋が…今では愛に変わってる。


