「朱里」

「たっくん…なんで分かったの?」

「朱里がどんな格好してたって、俺はすぐに見つけることができるから」




そう言って笑うたっくんに、私は一生敵わない。

人混みの中、私の手をしっかり握ったたっくんは、耳元でコソッと呟く。




「朱里、すごく綺麗だよ。誰にも見せたくないくらいにね。だから…この手は離してあげないから」

「…っ」




ほらね。やっぱりたっくんには敵わない。

今日はたっくんの誕生日だからたくさん喜んでもらいたくて、たくさんドキドキしてもらいたくて…

色々考えてみたって、結局いつもこうやって私がドキドキさせられちゃうんだ。