待ち合わせ場所は、人で溢れる駅の改札口。

まだ待ち合わせの時間まで随分あるのに、たっくんは既にそこにいた。

どんなに人がたくさんいたって、私はすぐにたっくんを見つけることができるんだ。

背が高くて、姿勢が綺麗で、スーツを着こなしているたっくんは、どこにいてもすごく目立つから。

たっくんの前を通り過ぎる女性達は、みんな頬を赤らめながら振り返ってる。

それくらい…かっこいい人。



改札口に向かって歩きながら、考えていた。

いつもすぐに私を見つけてくれるたっくんだけど…今日はきっと気付かないだろうな。


綺麗に巻いてもらった髪と、バッチリ施したメイク。それに、普段着ないような大人っぽいワンピースに身を包み、慣れないヒールの靴を履いて。

ほら、今日の私はいつもと全然違う。


急に目の前に立って驚かせちゃお。

そう、思っていたのに……

突然キョロキョロし始めたたっくんと視線がぶつかったかと思えば、たっくんはすぐにこちらに向かって歩いてくる。