先輩に事細かくケーキのイメージを伝えて家に帰ったその日、たっくんは残業だったようでいつもより帰りが遅かった。

それでもやっぱり帰宅したたっくんから疲れを感じることはなくて。

それどころか、なんだか上機嫌にさえ見えた。




「え?誕生日の日に実家に帰るの?」

「うん。泊まる予定だから朱里も一緒に帰ろうよ」




そんな会話をしつつ、キッチンで食事の用意をする私の後ろに立ったたくんは、いつものように私の頭をポンッと撫でて。そのあと、ネクタイを緩めた。

料理をしながらも、大好きなその仕草に胸がキュンとなった。




「それはいいけど…でもどうしたの?毎年誕生日は家でゆっくりしたがるのに」

「たまには父さんと母さんに顔見せないとなーって思ってさ」

「そっか、そうだよね。誕生日にたっくんの顔見れたら二人とも喜ぶだろうね」




私と同じようにたっくんも親孝行したいと思ってる。そのことがなんだか嬉しかった。



「プレゼントはどうしよう?何か欲しいものある?」

「んー…欲しいものはある、かな」

「なに?」

「誕生日の日に言うよ」

「…?分かった。誕生日の次の日休みだし、一緒に買いに行こうね」

「うん」



いつも深い愛をくれるたっくんに一生忘れられないような最高の誕生日をプレゼントしたい。

愛する人のために何かをすることがこんなにも幸せなことだって教えてくれたのはたっくんなんだ。

だから……その日に私の想いを伝えたい。