「アハハ、冗談だって。あれでしょ?この時期に来るってことは、誕生日ケーキの予約だよね?」

「はい。お店にも行きたいんですけど、たっくん毎年家でお祝いしたがって…今年もケーキだけ頼めますか?」

「オッケー、いいよ」




高校生の頃、先輩から貰ったケーキを食べたあの日から私はすっかり先輩の作るスイーツの虜。

先輩が作るスイーツは味はもちろん、見た目がすごく華やかで見ているだけで幸せになるものばかり。

だから毎年特別な日のケーキは先輩にお願いしてるんだ。

今日お願いしたのは、たっくんの誕生日ケーキ。




「どんな感じで作ろうか?」

「それなんですけど、ちょっとお願いがありまして…」

「ん?」

「あの、ですね」




きっと私の要望が予想外だったのだろう。

先輩は、まさにキョトンという言葉がピッタリ当てはまるような顔をしていた。




「…っえ?マジで?」

「はい。お願いできますか?」

「それは、もちろんいいけど…」

「あと!絶対たっくんには秘密で!言ったら先輩のあんなことやそんなこと、小春さんに暴露しますからっ」

「アッハハハ…なに必死になってんの?そんな興奮しなくても言ったりしないから俺に任せてよ。最高のケーキ作ってあげるから」

「…お願いします」