仕事が終わると、大体スーパーの袋を下げて真っ直ぐ帰宅することが多い。
誰もいないけど「ただいま」と言いながら部屋に入るのは、自然と身に付いた癖みたいなもの。
夕飯の支度をする前に洗濯物を取り込んで、お風呂の準備をして、お掃除もして…
この生活を始めて一番に感じたことは、親の偉大さ。
実家にいた頃は、いつも片付いた部屋で綺麗に洗濯された服を着て温かくて美味しいご飯を食べていた。
当たり前に過ごしていたあの日々は、実は当たり前なんかじゃなくお母さんの努力の賜物だったことを知った。
そして何不自由なく生活できていたのは、お父さんが毎日汗水流しながら一生懸命働いてくれていたおかげなんだということも知った。
離れたことで知った親の有り難みと家族の深い愛。
そんな二人に、たくさん親孝行したいと最近よく思うようになった。
夕飯の準備中。ふとそんなことを考えてしまい、料理の手を止めてボンヤリしていると玄関のドアが開く音がする。


