「お願いだから離れていかないでよ…たっくんが近くにいてくれないと私っ…」
「俺はどこにも行かないよ。俺、朱里と離れたら生きていけないから」
私の言葉と重なるように言ったたっくんの顔に迷いは感じなかった。
離れたくない、というのは私の我儘だと思ってたのに。
たっくんも、私と同じ気持ちってこと…?
「不安にさせてごめんね。ちゃんと話すから、聞いてくれる?」
小さく頷けば、たっくんは安心したように柔らかく微笑んだ。
「俺、朱里と離れるの無理なんだよね。だからこれからもずっと一緒にいてほしい」
「ずっと一緒に…?」
たっくんの瞳は、しっかり私を映す。
その綺麗な瞳に囚われて、優しく触れられていた手には、グッと力を込められた。
「朱里、高校卒業したら俺と一緒に暮らそう」
「え…?」
たっくんと一緒に暮らす…?
熱で頭がうまく回らないから、聞き間違いや幻聴の可能性もある。
そう思って何も言えないことを察したのか、たっくんはそのまま続けた。


