「ん…?」



目を開けたとき、視界に入ってきたのは見慣れた天井で…ここが自分の部屋なのだと気付いた。

ズキズキと頭が割れるように痛い。

私…あのまま倒れちゃったのかな。




「…朱里」




すぐ近くから聞こえてきたその声に顔を横に向けてみると、ベッドの横に腰掛けているたっくんが心配そうにこちらを見ていた。




「何でこんなに熱があるのに無理しようとしたの?」

「だって…久しぶりのデートが嬉しくて…だから私、」

「体調悪いの隠してデートしたって俺は全然嬉しくない」




そう言いながらため息をついたたっくんに、頭だけじゃなく胸もズキズキ痛んだ。

今は、とにかく二人の時間を大切にしたい。

ただ、それだけなのに…どうしてうまく行かないんだろう。




「たっくん…今からデート、しよ…?」

「何言ってんの?寝てなきゃダメだよ。デートはまた今度に…」

「なんでっ…!」




熱のせいかもしれない。

普段胸に閉まっていた思いが溢れ出してくるのを止めることができなかった。