体の不調を誤魔化しながら一通りの準備を済ませて一階に降りると、リビングの方からお父さんとお母さん、たっくんの話し声が聞こえてきて思わず足を止める。
3人で何の話してるのかな?
まさかまた恥ずかしい話じゃないよね…?
ボーッとする頭でそんなことを考えながら、会話が聞こえる距離までソーッと近付いた。
「そうか…寂しいけどここから昭栄まで電車でも一時間以上は掛かるからなぁ。家を出るのはしょうがないか」
「たっくんってば、だからこのところ必死にバイトしてたのねぇ」
「うん。父さん達に学費を出して貰う上に生活費まで面倒見てもらうわけにはいかないから」
聞こえてきたそんな会話に、耳を疑った。
たっくんが家を出る…?
なんで?
そんなこと、私には一言も……
もしかして今日大事な話があるって言ってたのは、このことなの?


