デート当日の朝。

私は、なかなかベッドから起き上がれずにいた。



「38.4℃…?嘘でしょ…」



嫌な予感はしていた。

だって、昨日の夕方くらいから体が重くてダルかったし。

どうしてこんな日に限って熱が出るの…




私って子供の頃からこうだった。

楽しみにしていることほど、中止になったり延期になったり。

でも、今日は久しぶりのデート。

二人で一日中過ごせる貴重な日だもん。

中止も延期も絶対にイヤ。

こんな熱なんて…薬飲めばきっと大丈夫。





コンコンッ────




「朱里起きてるの~?今日は朝から出掛けるんでしょ?たっくん迎えに来たわよ」

「あ…起きてるよ。今から準備するから下で待っててもらって」




ドアの向こうから聞こえてくるお母さんの呼び掛けに、重たい体をのそりと起こす。

そのまま覚束無い足取りでクローゼットへ向かい、フラフラしながらも辿り着くと、ハンガーに掛けておいた洋服を取り出した。

…今日のために、新しい服買ったんだ。

たっくんに可愛いって言ってほしいから。