「次いつ会えるか分かんないし、またウザイくらいに気持ちぶつけてきた」
「それで、小春ちゃんはなんて?」
「相変わらず『諒ちゃんなんか大嫌い』ってさ。でも全く凹んでないし、寧ろ会えたことに喜んでる俺ってもしかしてドMなのか?」
「うん、前向きなドMだね」
「アハハ、やっぱりドMか。嫌い嫌いも好きの内って言うし嫌われるのなんか痛くも痒くもないな。諦める方がよっぽど辛い」
どこまでもポジティブ思考な諒介さんは、やっぱりすごい。
心も、その想いも、強くて真っ直ぐで…1ミリもブレない。
俺はこの人みたいになりたいと思ったから、想いを貫き続ける覚悟ができたんだ。
だから今があって、朱里との未来を真剣に考えることができる。
「諒介さんってムカつくけど尊敬せずにはいられないんだよね。だからさ、ずっとそのままでいてよ」
「このまま?無様にフラれまくって年中ムラムラしてて寂しがり屋でドMのままってことか?」
「ハハ、そうそう。俺はそういう変なままの諒介さんの背中を見ながら成長したいからさ」
俺の言葉に、諒介さんはお菓子を漁っていた手をピタリと止めて目を丸くする。
その表情は、まさに鳩が豆鉄砲を食らったような顔。


