今日もたっくんに溺愛されちゃっています。





「機嫌直せって。わざわざ可愛い可愛い後輩に会いに来てやったんだからもっと喜べよ」



可愛い可愛い後輩、ねぇ。

散々連絡無視しといてよく言うよ。



「なんでこのタイミングで来るかな。俺、バイトすることにしたから今は朱里との時間を大事にしたかったのに…」

「バイト?さてはあれか?今の内から結婚資金を貯めとくとか?」

「もちろんそれもあるけど…もっと近い未来のために、かな。卒業後のためっていうか…そんな感じ」

「ふーん…なーるほどね。そういうことか」




この会話だけで全てを理解したらしい諒介さんは、やっぱりすごい人なのかもしれないと思った。




「朱里ちゃん、大学どこ志望なの?」

「ん?紅蘭だよ」

「紅蘭…ああ、女子大か。じゃ、おまえは昭栄ってことか」

「そうだけど…よく分かったね」

「まぁな。ストーカーの心理は心得てるし」




遠慮なしにお菓子にがっついてるくせに、すごい洞察力。

俺の行動の意味は、異常なほど一人の人を愛する人にしか分からないのかもしれない。



俺は正直、大学なんてどこでもいいと思ってる。

将来教師になるための勉強さえできればどこ行ったって同じだから。

だって…どこに行ったって、そこに朱里はいない。

朱里のいない世界は、俺にとってどこも同じ霞んだ色の世界でしかないんだ。

だったら…少しでも、その世界に色を付ければいい。