「わあ…すごい。これ、もしかして先輩の手作りですか?」
「そう。職場ではまだ作らせてもらえないけどね」
先輩は高校卒業後、大手ホテルに就職してパティシエの修行をしている。
料理の道に進むとは言ってたけど、パティシエはすごく意外だと思った。
でも、卒業前にその理由を聞いたとき、
『小春の好物はラーメンだからラーメン屋も考えたけどパティシエの方が女の子にモテそうじゃん?』
という、なんとも先輩らしい理由に納得した。
「今日は仕事お休みですか?」
「うん。だから華に会いに実家行っててさ。そしたら久々にヒヨコちゃんにも会いたくなって~」
「ヒヨコちゃん…?」
上機嫌によく分からないことを話す先輩とは対照的に、たっくんは不機嫌そうな顔で黙り込んでいる。
たっくん、二人の時間邪魔されるのすごく嫌うから…
だけど、先輩たっくんに会いに来たんだよね?
久しぶりに話したいこともあるんだろうし…
「たっくん、私、帰るね。先輩、可愛いケーキたくさんありがとうございます」
「うん、また感想聞かせてよ」
「はい、じゃあまた」


