「アッハハハ…ヤバイ。おまえの母ちゃん面白すぎ」
思った通り、部屋には懐かしい先輩の笑い声が響く。
相変わらずこの人はすぐツボにハマるようで、ヒーヒー言いながら大爆笑してるし。
なんだ…全然変わってない。
どうやら落ち着いたんじゃなくて、笑いを堪えてただけらしい。
「聞き耳立てながら『まだ始まってはなさそう』とか、『さすがに息子のそんな場面を見るのはキモイし~』とか言ってて…マジ傑作だわ」
思い出したように話しながらお腹を抱えて笑う先輩に、また顔が熱くなる。
オバさん、そんなことまで言ってたなんて…
しかも、それを矢吹先輩にまで知られちゃったなんて…もう色々と恥ずかしすぎる。
「あー、笑った笑った。久しぶりだね、朱里ちゃん。はい、これあげる」
「え?ありがとうございます」
先輩は笑いすぎて出た涙を人さし指で拭くと、手に持っていた白い箱を私に差し出してくれる。
受け取ったその箱を開けてみれば、中には数種類のケーキが入っていた。


