ポロポロ涙を流す私に、マサトくんは目を見開くと慌てたようにオロオロし始めた。




「すみません、泣かせるつもりじゃ…」

「違うの…ごめ…」

「あの…最後まで聞いてくれますか?」




拭っても拭っても止まらない涙のせいで、返事をすることができない。

その代わりに首を縦に振ると、マサトくんはホッとしたような表情を見せた。




「僕、好きな人ができたら星空の下で告白するのが夢だったんです。その夢を拓海くんが叶えてくれました」

「え…?どう…いう、こと…?」




どうして、たっくんが…?




「拓海くんは全部知ってます。俺が佐伯先輩を好きなことも、今ここで想いを伝えてることも」

「飲み物、取りに行った…んじゃない、の…?」



マサトくんは、首を横に振る。



「絶対嫌なはずなのに…想いを伝えること許してくれました。拓海くんだって辛いはずなのに、いつも通り振る舞ってくれました。僕の夢を叶えてくれて…背中を押してくれました」



たっくんの様子が少しおかしいような気はしてた。

だけど、いつも通り優しく笑ってくれたから…

気のせいだと…そう、思ってしまっていた。




「佐伯先輩が太陽なら、拓海くんは僕にとって月です」

「月…?」

「拓海くんはいつも月みたいに輝いてます。その輝きで暗闇にいた僕に光を照らしてくれました。静かに見守り続けてくれるところも…月そのものです」



私なら同じことができたかな。

たっくんを好きだという女の子がいたとして、自分の気持ちを後回しにしてまでその子の背中を押してあげることなんて…

私には絶対にできない。