「東の空に見える一番明るい星分かりますか?」
「あ、見える見える!ハッキリ分かる!」
「あの星がベガ、その右下の方にある少し明るい星がアルタイル、その左側の方にあるのがデネブ。この3つの星を…」
私の隣に腰掛けたマサトくんは、空を指さしながらスラスラと説明してくれるけれど。
アルタ…?デネ…?
ま、また分かんないよ…
聞き慣れない言葉達にチンプンカンプン状態。
「あ…すみません、やっぱり難しいですよね」
「ううん、ごめんね。頭がついていかなくて…でもね、すっごく感動してる。それは本当だよ」
「そうですか。綺麗なものを一緒に綺麗って思えたら…それで充分です」
マサトくんは一瞬笑顔を向けてくれたけれど、すぐに真顔になった。
「僕…佐伯先輩に謝らないといけないことがあるんです」
「え?なに?」
「あの…佐伯先輩は僕を友達だって言ってくれたけど…僕は一度も友達だと思ったことないです。すみません」
俯き、言いにくそうに放たれたその言葉達に頭を殴られたような衝撃を受けてしまった。
ええ~っ…それはリアルにショックかも…
やっぱり年上なのに難しいこと分かんないから…?
居眠りしてよだれ垂らしちゃうだらしない奴だから…?
それとも、それとも……、
ダメだ。思い当たることが多すぎる。


