「どうしたの…？何かあった…？」
不安になってそう聞く私に、たっくんは上を見ていた顔をこちらに向けると、優しく笑いながら首を横に振る。
「ううん、何でもない。あ、来た来た」
「ん？」
ヒラヒラと手を振るたっくんの目線を追うと、こちらに向かって歩いてくるマサトくんが見えた。
どうしてマサトくんがここに…？
そんな疑問を見抜いたのか、たっくんが口を開く。
「マサトね、天体が好きなんだって。今からここで天体観測するらしいよ」
「天体観測…楽しそう！」
そんな会話をしている間にも、マサトくんは私達のところまで辿り着いて。
ワクワクしていた私は、マサトくんに歩み寄って声を掛けた。
「マサトくん、天体観測するの？」
「はい。本当は天体望遠鏡持ってきたかったんですけど荷物になるから…これを持ってきたんです」
そう言いながらマサトくんがショルダーバッグから取り出したのは、立派な双眼鏡だった。
双眼鏡で天体観測…すっごく素敵！
