そのあとも、どんどん焼き上がるお肉や野菜を運んでいく。
「お待たせ~。リュウジくんってカルビが好きだったよね?多めにいる?」
「おー、いるいる。つーか、よく俺の好み知ってんな。おまえ、そういうとこ昔からマメだよなー」
「そうかな?」
「よく人を見てる。すげーよ」
昔から人間観察が好きで、人の好みを覚えてるだけなんだけど…そんな風に言ってもらえて嬉しい。
思いがけず褒められて頬が緩むのを感じながら、今度はマサトくんのところへ足を運んだ。
「マサトくんお肉好きなんだよね。まだ食べる?」
「あ…じゃあ貰います」
「オッケー。たくさん食べてね」
「ありがとうございます」
良かった…マサトくん、楽しんでくれてるみたい。
去年はずっと部屋に閉じこもってたマサトくんに、今年の夏は楽しい思い出を作ってほしい。
そう思ってこのキャンプに誘ったから…
笑顔のマサトくんを見るとホッとするんだ。
もう二度とこの笑顔が曇らないように、
楽しいことで溢れた毎日であるように。
心からそう願ってる。


