暫く沈黙が流れ、聞こえてくるのは波の音をも掻き消すように流れるBGM。
そして、楽しそうに遊ぶ人達の声。
「佐伯先輩の彼氏が拓海くんだから…告白したい」
「…え?」
何分続いたか分からない沈黙を破ったのは、マサトの方だった。
「僕、拓海くんのこと好きだよ。憧れてるし尊敬もしてる。だから、高校も追っ掛けてきた」
「マサト…」
「好きになった人が拓海くんの大事な人だから早く告白したいと思った。それで…ちゃんとフラれたい」
人の想いには色んな形があるんだと知った。
例えば俺みたいに、とにかく振り向いてほしいと必死に頑張り続ける想いの形。
例えば諒介さんみたいに、どんなに嫌われても死ぬまで好きでいたいという想いの形。
例えばマサトみたいに、届かないと分かっていても…それでも、伝えたいという想いの形。
それぞれ形は違うけど、その先にあるのは全て強い想い。


