「そ、そんなことは…」
「じゃあ未希さんが言った言葉にピンときましたかぁ?きませんよねぇ。拓海先輩って朱里さんに甘々だから苦しくて切ない恋なんて無縁ですもんねぇ」
「うっ、それは……」
会話に混ざってきた凜ちゃんは、いつものように髪の毛を指にクルクルと絡めながら私の次の言葉を待っているけれど。
私は…それ以上なにも言えなかった。
ユメちゃんと凜ちゃんの言う通りなのかもしれない。
泣きたくなるほど好きっていうのは分かるけど…苦しくて切ない恋なんて私は知らないから。
「朱里ちゃん可愛いし、拓海くん以外にも告白とかされたことあるでしょ?そのとき心に響かなかった?」
「え?」
未希ちゃんの問いに、うーん、と必死に思い返してみても…
頭に浮かぶのも心に響いたのも、たっくんの素敵な告白だけだった。
「そもそも切ないって…どんな感覚なのかな?」
悲しいとか、寂しいとは…きっと違うよね。
「一番分かりやすいのは片想いかな。例えば過去の恋を思い出したり、好きな人が他の人を想ってたり。あとは…告白されたとして、嬉しいんだけどその想いに応えられなかったら苦しくなると思うんだ。それも切なさ、かなぁ」
「うーん…」


