「その時のね、金髪の下の笑顔にやられちゃった。シュウちゃんって元ヤンだけど話せば優しいし私みたいなお堅い女とも距離取らずに接してくれるし。それで好きになっちゃった」
「じゃあ未希ちゃんから好きになったの?」
ちょっと意外。
見た感じだと、シュウくんの方が未希ちゃんにぞっこんって感じなのに。
「うん。それからずっと片想いしたんだけど、夏休みに入る前に勇気出して告白したんだー。緊張で泣いちゃったけどね」
「ほんとだ。よく見たらこの写メの未希ちゃん涙目になってるね」
「でしょ?私、普段はこんなに地味だし誰とも付き合ったことなんてなくてフラれる覚悟だったんだけどね。でも…」
空を仰ぎながら微笑むと、未希ちゃんは続ける。
「でもね、泣きたくなるほどシュウちゃんが好きだったから。後悔しないように想いを伝えたの」
「泣きたくなるほど…」
「恋は楽しいばかりじゃないでしょ?時に苦しくて切なくて…そんな片想いから脱出したかったんだ」
恋は楽しいばかりじゃない、
時に苦しくて切ない…そんな片想い、か。
「ああ、ダメダメ。朱里は片想いなんてしたことないからその気持ち分かんないよ」
ユメちゃんは手をパタパタと左右に振りながらそんなことを言う。


