「朱里、今日もデートしよ」
「え?う、うん…」
「どこ行こっか?」
今日は進路調査票の提出期限日。
たっくん、あれから何も言ってこないけど…結局どうしたかな。
考え始めると気になって、鞄に荷物を詰めていた手が思わず止まる。
「朱里、どうかした?」
「たっくん…進路調査票って出した?」
「ん?出したよ」
「あの…どこの大学に…」
ガラッ────
「おっ、芹沢まだ帰ってなかったか。セーフ」
私の言葉を遮るように教室に入ってきたのは、担任の先生だった。
たっくんはいつでもどこでも私にくっついてくるから、私達のことは先生方にまで知れ渡ってたりする。
「まーたおまえらイチャついてんのか?…ったく」
「先生、俺に何か用ですか?」
「用なんてもんじゃないだろ。とにかく今すぐ進路指導室に来い。先に行って待ってるから…絶対来いよ」
「…?分かりました」
たっくんが進路指導室に呼ばれるなんて珍しい。
それに、緩い先生があんなに真面目な顔するのも…
「朱里、ちょっと行ってくるから教室で待ってて」
「うん、分かった。待ってるね」
「絶対教室から出たらダメだからね?狼が目を光らせてるかもしれないから」
「いつも心配しすぎだよ。絶対大丈夫だから」
「ほんと?ああ、でも一人にするの心配…朱里をポケットに入れて持ち運べたらいいのに…」
これ、決して冗談で言ってるわけじゃなく本気で頭を抱えながら言ってるんだからビックリする。
あのー…教室に一人でいるだけでそんなに心配してたら卒業後は一体どうなるんでしょう…?


