◆◇◆拓海side◇◆◇
朱里は友チョコの存在なんて知らなくて良かったのに。
一体誰が吹き込んだ…?
「うおっ!このクッキー超うめぇ」
「朱里ちゃんってお菓子作るのまで上手いんだぁ」
「本当?良かったぁ。初めての友チョコだからドキドキしちゃった」
朱里…ダメだよ、俺以外のことでドキドキしちゃ。
顔には出さないけど、めちゃくちゃ殺意芽生えちゃってるのみんな気付いてるかな。
俺は今日、急ピッチで二人に勉強を教えていた。
その理由はただ一つ、朱里の家にチビッコが来るって聞いたから。
朱里が子供と戯れてるとこ見たい、その思いで予定より早く勉強を終わらせたんだ。
ヤバイ、俺…絶対ニヤニヤしちゃう。なんて浮かれていたのも束の間。
朱里がオバさんお手製のパウンドケーキを持ってきてくれた。
……………忌々しい友チョコと共に。


