ある日の放課後。

「バレンタインの材料を買いに行くから付き合ってくださぁい」

と凜ちゃんに頼まれた私は、ショッピングモールに来ていた。



お店の一角にはバレンタインの特設コーナーが設けられていて、女性客で大賑わいだ。

もうそんな時期か。

バレンタイン…今年はどうしようかな。

なんて、2月に入ってからやっと考え始める私とは違い、凜ちゃんはお目当てのものをどんどんカゴに入れていく。

カゴが溢れるほどのその量に驚いた私は目を丸くしながら凜ちゃんに問う。



「ねぇ、どうしてそんなに買うの?」

「え?これは友チョコ用ですよ。朱里さんもあげるでしょ?」

「友チョコ、って…?」

「えっ!?まさか知らないんですか?」

「知らない。なにそれ?」

「友チョコっていうのはぁ~…」




凜ちゃんが教えてくれた“友チョコ”とは、“バレンタインに友達にあげるチョコ”というものらしい。

全然知らなかった…

バレンタインのチョコって、家族とか好きな人にだけあげるものだと思ってたから。

今思えば、たしかに毎年ユメちゃんがバレンタインにお菓子くれてたっけ。

あれが友チョコだったなんて…なんでユメちゃん教えてくれなかったのかなぁ?