そんな自由すぎる親達に軽く衝撃を受けていた私に、二人だけでパーティーしようと言ってくれたのはたっくんだった。
二人きりで誕生日を過ごすのなんて初めてだから、昨日からすっごくドキドキしてるんだ。
まぁドキドキしている理由は他にもあるんだけどね。
「朱里、俺ちょっと出掛けてくるね。すぐ帰るから」
「えっ…?」
学校から帰ったばかりだというのに突然出掛けるなんて言い出したたっくんは、そのまま玄関に引き返すと脱いだばかりの靴を再び履き始める。
「どこ行くの?私も一緒に、」
「ダーメ。すぐ戻るからいい子に留守番しててね」
慌ててその背中を追い掛けて一緒に行こうとすれば、笑顔で拒否されて。その真意が分からないまま、玄関のドアはバタンッと音を立てて閉まった。
本当に置いていかれちゃった…
今日は大切な日だからずーっと一緒にいたいのに。
そもそも用事ってなに?
もしかしてマサトくんのところ?
行き先も教えてもらえないなんて、こんなの…寂しいよ。


