「朱里、ただいま」

「おかえり、たっくん」



夜、いつものように私の部屋に来たたっくんは、なんだか満たされた表情をしている気がした。

鞄を持ったままのところを見ると、マサトくんの家から直行してきたのだと分かる。



「隣なんだから鞄置いてから来ればいいのに」

「そんな時間もったいないと思うくらい早く朱里に会いたかったんだよ」



そう言って鞄を持ったまま、私を強く抱きしめるから胸の奥がキュッとなった。



「やっぱり朱里は癒される…」



たっくんは知ってるかな?
こんな風にギューッてしてくれるたっくんに、私も癒されてること。



「なんか嬉しそうだね。今日はどうだったの?」

「んー…話すより先にキスしたい」

「い、いきなり?最近…しすぎだよ?」

「離れて寂しい分、朱里とキスしたら安心する。それに朱里に触れると幸せで…なんでもできちゃうんだ」

「そんな…大袈裟だよ」

「朱里は俺の全てだから。会えば癒されるし、笑顔を見れば元気になるし、キスしたら幸せな気持ちになる。朱里がいるから俺は頑張れるんだよ」




ああ…たっくんが嬉しそうな理由を早く聞きたいのに。



「だから…キス、しよ?」



真っ直ぐな目でそんなこと言われちゃうと…
浴びるほど降ってくるキスをまた受け入れたくなって、返事をする代わりに小さく頷いた。