全ては、鼻で笑った親友の思惑通り。
自身の職を失う怖さと、お金が欲しいという汚い欲望で先生は簡単に寝返りました。
この時点で、彼の味方は誰もいなくなったのです。
彼に残されたものは絶望だけ。
学校に行けば、心当たりのないことを認めるように先生に説得され、身に覚えのないことを親友に謝罪するように強要されてしまう。
もし雰囲気に飲まれて認めてしまえば、家族にも連絡が入って悲しませることになる。
彼にはなんの非もありません。
でも、誰がそれを信じますか?
だって親友は、名家の跡取りで権力を持っています。
もしもこの先、彼を信じる人が出てきたとしても親友は権力を振りかざして自分の味方にさせるでしょう。
だからといって、これから先わざと悪い成績を取ってしまうと、やっぱり今までカンニングしていたんだと認めるのと同じことになり、彼はまた外を歩く度に蔑みの目で見られてしまいます。
それは同時に、またイジメが始まってしまうことを意味しているのです。
そんなの…たった一人で耐えられますか?
答えは、NOです。
どっちにしたって悪者になってしまうのなら。
どっちにしたってイジメられてしまうのなら。
それならいっそ…家に閉じこもってしまおう。
それが彼が出した答えでした。


