「先生はAを信じるよ。これからBと二人で話すから…今日はもう帰っていい」
先生にそう言われた彼ですが、気になって帰ることなんてできませんでした。
だから、暫くして親友が教室に入っていくのを確認すると、ソッとドアの隙間から覗くようにして二人の会話に耳を傾けたのです。
「これはどういうことだ?」
先生は全く同じところを間違えている答案用紙を見せ、親友にそう問います。
すると、いつもより低いトーンの親友の声が教室中に響きました。
「先生、もしかして俺を疑ってるんですか?」
「そうじゃない。ただ、どういうことか聞いてるだけ」
「どういうこともなにも…こういうことですよ」
「ちゃんと答えなさい。先生はAがカンニングするような生徒だとは思えない」
先生は本当に彼を信じていてくれました。
そのことが嬉しくて嬉しくて…彼は身を潜めながら喜びを噛み締めていました。
ーーーけれど、それは…簡単に覆されたのです。


