次の日、マサトの部屋に行ってみると内側から鍵が掛けられていた。
週に何度かこんな日があるから驚きはしないけど…今日はいつもと少し様子が違う。
部屋の前に、あのノートが置いてあったんだ。
驚いた俺は、何かを考えるよりも先に部屋のドアをノックしていた。
「マサト、ノートありがとう」
「…」
「ここで読ませてもらってもいい?」
「…」
いつものように返事はなかったけど、ダメだと言わないってことは読んでも大丈夫なんだと捉えた俺は、部屋の前に腰掛けると早速ノートを開いた。
「…え?これって…マサトが書いたの?」
「…」
ノートを開くなり思わずそう聞いてしまったのは、いつも一行程度しか書かないはずのマサトが… 今回はビックリするくらいの長文を書いていたから。
“昔々、あるところに”から始まるその文章は、まるで物語のように書き綴られていて…
俺はそれを淡々と読み進めた。


